村上春樹の隣には三島由紀夫がいつもいる。 (PHP新書)
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カスタマーレビュー
評価:
2006-04-26
評価:
2006-04-15
評価:
2006-04-09
評価:
2006-04-05
評価:
2006-03-20
こういうものはチラシに裏にでも書いておけば宜しいのではないでしょうか?
読むだけ無駄。我田引水の宝庫である。三島由紀夫と村上春樹の作品における繋がりを強引に推し進めている。まったく、こういう内容のものを書いて世間に恥を晒せるものだ。私にはとても出来ない。
大体、物語の類型的なパターンは出尽くしてるわけです。ボルヘス風に言ってしまえば『バベルの図書館』ですかね。ですから、ある程度の作品を出版している作家同士であれば強引にこの著者のような方法を推し進めれば、このようなものを書くことは不可能ではない。そういうことがあるのは間違いないし、一文ごとに検討していけば強引にそのような説をひねり出すのも不可能ではない。
突っ込みどころ満載である。例えば、非現実的な世界観を描いており村上春樹が愛読しているカフカと、そのカフカに強い影響を受けた安部公房などは三島以上に深く繋がっていると言えませんか? そして、初期作品においてカート・ヴォネガットの影響についてまったくといっていいほど触れていないのはどうして? あと、世代的に大江健三郎の存在が大きかったはずであるから、その影響の問題はどうなの? アメリカ文学だけではなく、若いときはロシア・フランス・イギリスの西洋文学に耽溺してたわけだからその影響はどうなってるの?
もう、三分の一読んだだけでこれだけ突っ込めましたよ。ということで全部読まずに投げました。時間の無駄であり、金の無駄。村上春樹氏も有名税とはいえ、とんだ迷惑だろう。やれやれ。(66人中、34人の方が「このレビューは参考になった」と投票しています。)
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新書にして古典
数々の謎本を誘発してきた村上だが、これはおそらく決定打ではないか。最近でもっとも唸った本になりました。
個人的には、なんとなくだが、村上は大変な「嘘つき」であるとは思ってきた。多くの謎本を誘発したのも、「村上は重大ななにかを隠している」という、胡散臭さみたいなものを多くの人々は感じていたからだろう。彼がもっとも隠したかったこと、それは、彼自身が若いころからの相当な日本近代文学マニアであり、自身はその正統な嫡子であるという強烈な自負ではなかったか。なるほど、これは自意識の高い、才能あふれる作家が隠しに隠したかった事柄に値する、と私は思う。
以前に大塚英志が、吉本ばななの作品は海外で出版されても、その表紙は非日本的イメージでデザインされているが、村上春樹となると、どういうわけか純日本的イメージで製本されていることが多い、これはどういうことか、といった旨のことを書いていた。今になってみれば、これはかなり鋭い指摘であったと思える。あの村上の文体が翻訳によって薄められたとき、海外において彼は日本近代文学の嫡子であることをすでに暴露されていたというわけだ。
いずれにしても、この驚くべき新書は、出版とともに村上春樹研究の古典たる地位を獲得したと思える。本当のところ、村上と太宰、三島との関係は、文芸評論家の真っ先に検討すべき課題であったはずである。このような王道的な研究をおろそかにし続けた他の批評家たちは、心ひそかに狼狽する他なかろう。ということは、決して著名であるとはいえない筆者によって書かれた本書は、あえて黙殺される可能性もなくはない。すごくいやらしい話だけれど。
しかし佐藤氏よ、ご安心あれ。すでに村上春樹氏は本書を熟読玩味しているし、「今まで書かれた批評の中で一番まともなんじゃない?」と心ひそかに思っていると思いますよ。
(47人中、27人の方が「このレビューは参考になった」と投票しています。)
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二律背反の後(アフターダークの俺の意訳)
村上春樹は十代後半から二十代後半にいたる10年間、ずっと読み続けていて、たくさんの評論家の批評も読んだ。評論家たちの言うことに、納得できた部分もあったが、どこか腑に落ちなかった。でも、この本を読んで、初めて納得がいった。著者の言うことにハズレもあるだろうが、それも含めて、おおむね納得できる。俺は、村上春樹は「神の子どもたちはみな踊る」で方向性を変え、「アフターダーク」で新しい世界へ抜けきったなと感じていたので、著者と意見が似ている。アフターダークのページをめくったところに、女性の乳房に顔をあてる男の絵が載っている。女性の乳房というのはもっとも原始的な受容の象徴だ。「甘えたい、誰かに完全に受容してほしい、赦されたい、肯定されたい」というのは人間の素直な欲求だと思う。村上春樹においては、かかわること(コミットメント)、かかわらないこと(デタッチメント)が主題の一つになっていると思う。甘えたいというのは、他人に自分を預けきること、つまり最も深いコミットメントだ。「海辺のカフカ」で三人称で書くことができるようになったということは、それだけ、事物を対象化できるようになったということだ。対象化できて、一息つけたからこそ、さらに対象化を押し進めて、一歩ひいた広い視野で事物を捉えた「アフターダーク」が書けた。村上春樹は常に変容している。村上春樹が三島由紀夫を忘れ、初めて二律背反を振り切ったあとに見える光景はどのようなものなのだろうか。次の作品が楽しみだ。(26人中、17人の方が「このレビューは参考になった」と投票しています。)
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あくまで個人的な感想として
浅学の徒である自分に総てが理解できたとは思えない。
演繹的にテキストを読み込んで初めて思い至らしめんとする部分も
日本文学や文学史に極めて暗い為、その本当に意味するところも
解りかねる。でも今まで漠然と感じていたことに理論的な意味づけや
解釈がなされている点がスリリングで、文芸批評というものの醍醐味を
少しは感じ得た気がする。殊に村上氏の文体の持つ軽みや透明さは
重く底に沈みこんだものの上澄みのようだとかねてより感じていたので
日本文学史の扱ってきた重い首題を現代的な視点で捉え直しているとの
村上氏の作品解釈という点で首肯することひとしおであった。
三島由紀夫との比較で批評を試みたのはこれが最初ではないはずだが
論理的な完成度と言う意味で推定の域を超えてここまで納得させられた
のは確かに初めてのこと。ここから翻って鴎外や志賀、太宰、三島を
新たな気持ちで読んでみようかという気にさせられるのも筆者の力量。
ダンス×3に至るまでの批評で一旦筆を置いておられるが(編集の都合)
そこに紙面を割くくらいなら、むしろその後の作品群に関する批評が
読みたかったという思いも極めて強い。暫定的な解釈、批評でも良い
ので、今の時点でのアンダーグラウンドや海辺のカフカ、アフターダークへのアプローチを
垣間見たかったのはおそらく小生だけではないと思う。
また何年か後に続編も出ることだろうが早くも続きが待ち遠しい。(24人中、15人の方が「このレビューは参考になった」と投票しています。)
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村上春樹、熱愛的熟読。
村上春樹は彼に先行する日本の作家たち、なかでも三島由紀夫の文学と格闘しながら彼のオリジナルな作品(本書では、デビュー作から『ダンス・ダンス・ダンス』まで)を創造してきたのだという説を細かに検証する本です。春樹の文章をなめるように読みこんで、いわゆる「謎解き」を執念深くおこなうのが主な目的であります。ただし、それだけでなく本書は、著者の日本の小説に対する「愛」の告白の書としてもあり、またその「愛」の正しい表現の仕方をよく考えぬいた独自の文芸批評論でもあるとも言えるでしょう。
春樹を日本の小説の流れのなかに位置づける、というのは、それほど新しい視点ではないよねえ、というのが正直な感想ですが、しかし、あくまで三島文学への対抗意識において(とりわけその死生観をめぐって)春樹を読み直したことが、本書に圧倒的な魅力と独創性を与えています。デレク・ハートフィールドの正体は三島と太宰治だ、という新説になるほど。『ノルウェイの森』と『春の雪』の構造は酷似しており、そして三島を間において春樹と漱石(『こころ』)がつながり、三者の作品にはそれぞれの時代背景と作家の感性が読みとれる、という話も興味ぶかい。たとえば大塚英志が、「デレク・ハートフィールド=庄司薫」仮説を唱えたりしていますので、この辺、お互いの説に対する意見を聞いてみたいところです。
気にかかるのは、では、村上春樹は「日本文学史」の正統であり直系なのか?ということです。たとえば三浦雅士は、春樹の小説をあくまでもアメリカ文学の影響下にあるものと捉え(作家の語る言葉を「白=白」つまり素直に受け取った批評です)、春樹の小説やあるいは柴田元幸の扱っているような作品は世界文学の大転換と呼応しているのだ、と論じています。こちらも、説得力があります。「日本(語)」だけでは視野が狭いのでは、と思ってしまいます。
著者は『海辺のカフカ』や『アフター・ダーク』についても一家言あるようで、今後、どこかで改めて議論する予定のようですが、本書で残されたいくつかの疑問点も含めて、さらなる展開が楽しみであります。(32人中、26人の方が「このレビューは参考になった」と投票しています。)
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