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都市計画―利権の構図を超えて (岩波新書)

商品情報

都市計画―利権の構図を超えて (岩波新書)

都市計画―利権の構図を超えて (岩波新書)

カスタマーの評価:4.5/5
  • 著:五十嵐 敬喜
  • 著:小川 明雄
検索する >> 五十嵐 敬喜 / 小川 明雄
製造・発売:岩波書店
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形態:-
総ページ数:244
発売日:1993-08
[ 和書 ]
定価:¥ 819
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カスタマーレビュー

評価:5/52008-10-23  

本質的な分析と具体的な提言

 政策政党に期待する、1944年生まれの弁護士と1938年生まれの朝日新聞社国際編集部編集委員が、55年体制崩壊直後の1993年に刊行した本。戦後自民党政府は、表向きは国土の均衡ある発展を掲げながら、実際にはマスタープランの無い乱開発、地価高騰、地域格差を政策的に誘導してきた。著者たちは、その原因を日本の複雑な都市法の中核である都市計画法の不備に求める。それは絶対的土地所有権、規制対象範囲の狭さ、用途地域・容積率規制の甘さ(しかも通達で自由に変更可能)、数値化できない基準の軽視、補助金と許認可権による国家主導性の強さ、メニュー追加方式という特徴を持ち、しかもその後の規制緩和でなし崩しにされている。それは自治体の大きな権限、住民参加の徹底と議会の関与、規制の厳格さといった点で、欧米の都市計画とは大きく異なる。著者たちはこの日本的特徴の背後に、政官財の構造的な癒着を見、これが汚職や談合、バブル経済をもたらし、日本の生活小国化をもたらした根源であるとする。これに対して、掛川市など乱開発にさらされた自治体は、事実上の罰則規定を伴う要綱、まちづくり条例などの独自ルールの設定で対抗し、社会党・社民連も独自の対案を提出したが、自民党政府はそれを国家高権論で封じようとしてきた。しかし1993年、建設会社の裏献金による金丸信の蓄財と脱税が発覚し、自民党一党支配が終焉したことに、著者たちは希望を見出し、具体的な法改正案を提言して筆を擱く。本書は戦後日本の構造的な病根と見られるものを正面から見据えながら、しかも具体的な事実と提言によって論を進めており、非常に説得的である。データ自体はすでに古くなっているものの、今なお参考になる本である。

評価:3/52006-12-21  

土地、このまがまがしきもの

 1993年に発行された本書を今読むことの意味は、「土地、このまがまがしきもの」の直近の歴史を紐解き、整理するためである。
 土地という限られた財をめぐり、田中角栄内閣の「日本列等改造論」、中曽根内閣の民活・リゾート法、その他に伴う「都市法」の制度設計の経過を、「住まうもの」の立場に身をおき、筆を進めている。
 著者の怒りが、筆の速度をやや速めている感がある。
 幾たびかの攻防を経たであろう2006年現在、都心においては、新たな地価高騰の足音が聞こえる。
 本書が日本との対比として描いたヨーロッパからは、2005年、「フランスの郊外問題」が伝えられた。
 倫理を唱えたとしても、「実需」が有る限り、供給は止まらない。
 過疎問題は、既に「崩壊の仕方」の段階に達している。
 「利権の構図」は、登場する役者の名前を変えながら現在も健在の様である。

(2人中、2人の方が「このレビューは参考になった」と投票しています。)


評価:4/52005-02-18  

都市計画の抱える課題を分かりやすく解説

 本書は、日本の都市計画の抱える課題、すなわち、都市ビジョンの欠如、あるいは、無秩序な建築自由と、それが導く結果を、分かりやすく解説している。また、市民生活の快適性の確保という課題に対して、政官財という鉄のトライアングルを前にいかに無策であったかも、さまざまな事例によって示している。
 確かに地価騰貴や生活環境の悪化という現状は、都市計画法のビジョンのない規制緩和等を原因の一つとして生起した現象ではあろうが、社会への告発という本書の性格を反映してか、視点が一面的すぎるきらいがある。
 しかし、今後の地方分権社会に向けて、都市の有り様を規定する都市計画をどのように行うべきか、考える視点を与えてくれる一冊である。

(4人中、3人の方が「このレビューは参考になった」と投票しています。)


評価:3/52004-11-30  

わかりやすいのだけれど・・

「都市計画法が抱えている問題は、全て都市計画に絡む利権に帰着し、おカミのせいである」というイデオロギーで貫かれており、結果的に多くのことを見落としてしまっています。
例えば、著者は地区計画における容積率緩和のインセンティヴなどの規制緩和という緩和すべてを、「市民のため」「良好な都市環境のため」という言葉でもって否定します。緩和により土地の価値が上がり、政治家の懐が肥えるという論法です。
そこには密集市街地をめぐる様々な問題や、住宅ストックの問題、少子高齢社会問題、都市の持続可能性への視座、などの重要な視点が全て欠落しているのです。
改正都市計画法についても触れられていますが、その多くは何故か社会党による「代替案」に頁が割かれており、ついに最後まで「都市」への視点は貧弱なまま、イデオロギー先攻で書かれています。
(この辺は著者が弁護士&朝日新聞記者だから仕方がないのかもしれませんが‥)
入門書としてはよい本です。しかし都市は非常に複雑かつ多様な問題を抱えており、多角的な視点がどうしても不可欠です。

(9人中、7人の方が「このレビューは参考になった」と投票しています。)


評価:5/52003-12-25  

優れた問題提起の書

経済的利権 対 豊かな住環境を求める住民
都市計画制度は暫時に改正されてきたとは言え、この対立的な図式を突き崩すには至っていない。本書は、その原因を明快に解き明かしてくれる、優れた問題提起の書であると思う。
自分の中の問題意識を身近なところで掘り起こしたいという人は必読。
本書が解き明かす「利権の構図」というやつに、怒りを感じれるだけの間性を持つ人には、真剣に自分の周辺の開発・建築行為を理性的・批判的に目を向けて欲しいと思う。
真剣に自分を取り巻く住環境を良くしようと思うのならば、本書の第5章が訴えるように、都市計画を住民の手に取り戻すためのアクションが必要なのだから。自分が問題意識を持ち、地域の問題に関与し、心ある自治体とその担当者と手を携えていこうとすることくらいしか、流れに抗う術はないのだから。

(7人中、5人の方が「このレビューは参考になった」と投票しています。)

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