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神曲物語 (現代教養文庫 618)

商品情報

神曲物語 (現代教養文庫 618)

神曲物語 (現代教養文庫 618)

カスタマーの評価:5.0/5
  • 著:ダンテ
  • 著:野上 素一
検索する >> ダンテ / 野上 素一
製造・発売:社会思想社
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形態:文庫
総ページ数:498
発売日:2000
[ 和書 ]
定価:¥ 924
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カスタマーレビュー

評価:5/52008-02-16  

敢えて「神曲」を通常の文章で訳したユニークな書

「神曲」の和訳は多いが、これは非常にユニークなものである。
「神曲」の原書は全て詩で書かれてあり、「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」が、全て33歌で、一番最初の序詩と合わせて100歌である。さらに、全編で3行単位の詩であり、さらに各行は11音節と決まっているという、緻密と言うよりはなんともマニアックなものである。
和訳もほぼ全てが詩で書いてはいるが、このような決まりごとの再現は不可能であり、また、ダンテの詩の荘厳さを日本語で表現するのも難しい。
そこで、本書では、詩で書くのを諦めて、通常の文章で書かれており、よって題名も「神曲物語」としている。
私は中学1年の時、本書を読んだが、他書の詩で書かれた神曲の和訳が、重厚な雰囲気を出すために文語を多用することもあり、非常に読みにくかったのに対し、本書は非常に読みやすく、理解しやすかった。
ダンテが9歳の時に出会った同じ年の美少女ベアトリーチェを、ほとんど接触がないに関わらず、生涯愛し続け、本書でも重要な役を担わせている。
20世紀の詩聖イェイツが、ルネッサンス最大の想像力の所有者と言ったダンテの世界は十分に味わえると思う。

(4人中、4人の方が「このレビューは参考になった」と投票しています。)


評価:5/52003-12-03  

まっくら森のうた

ダンテが迷い込んだ「くらやみの森」は、どこにあるというような場所ではなく、ただ気付くことによっていつでも誰にでも来りうる世界なのだと思う。朗らかに、己が人生に何の疑いも挿まずに、したがって多分に浅薄に生きてゆけるというならばそれでもよい。しかしそれはそれで堪え難い生ではある。
つとダンテの傍らに現れたヴィルジリオは、眼前にそびえる地獄門を指し、これを通らないと現世には還れないと言う。門の頂にはこう記されてある――
「われを通るものは苦悩の市にいたる/われを通るものは絶望の民のもとにいたる」
生に潜む闇を垣間見た以上それから目を逸らしていては暗闇から脱せない、いちど苦悩と絶望との深淵に行き着いた上でなければ、それを克服して再び「生きる」ことはできない。そういうことだと思う。――ダンテは地獄の最下層へと下り、さらに下降する。すると上下感覚が反転していつのまにか上昇への道となっていた。そして浄罪界、天界へと通ずる。つまりトコトン沈みきったところに上昇復帰の真の道を見出すのである。
さて漱石の『門』にはこのようなくだりがある。
「彼は門を通る人ではなかった。又門を通らないで済む人でもなかった。要するに、彼は門の下に立ち竦んで、日の暮れるのを待つべき不幸な人であった。」
これは手前勝手に関連付けてしまうことになるが、しかし違和感なく繋がる。地獄門を前にしては誰であれ尻込みしたくなるものである。そして、この「彼」こそ、地獄門に戴かれたロダン「考える人」像なのではないか。
こんな妄想はいかがだろうか。

(6人中、3人の方が「このレビューは参考になった」と投票しています。)

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